3年ほど前から男女を問わず靴の新たなカテゴリーとして広がっているのがフリップフラップ、簡単に言えばビーチサンダル様のサンダルである。それらは素足で履く心地よさを生かしつつ、美的にも質的にも従来の概念を超えるグレードを求めることで、都市生活における夏の定番ファッションアイテムとして定着しつつある。これは日米共通して見られる動きであり、感度の高いファッション業態において、鮮やかな色やアーティスティックな柄など、様相に高い美的インプレッションを持つフリップフラップはこれから盛夏にかけての重要なクローズアップMDとなる。

フリップフラップをここまでのファッションアイテムにしたリードブランドがブラジル発の「ハワイアナス（havaianas）」である。このブラジルの国民的商品がファッションシーンで世界的に知られることになるきっかけは、2003年のアメリカのアカデミー賞授賞式にある。この年、スワロフスキー・クリスタルで装飾をほどこした「ハワイアナス」がアカデミー賞候補者たちへのギフトとして選ばれたのである。こうしたきっかけを経て「ハワイアナス」はハリウッドのセレブリティたちに愛用されるところのものとなり、安価なフリップフラップに高いファッション価値を与えたのである。ちなみに、この「ハワイアナス」は昨夏、日本でもホットブランドになり、今年はフリップフラップ訴求の核ブランドとしていくつものファッション店、雑貨店で取り上げられている。

イングランド（左）と日本（右）。

このハワイアナスが今年、サッカーＷ杯ドイツ大会開催に向けて、出場各国の代表チームのユニフォームをデザインモチーフにした新作を発売し、話題になっている。東京ではいくつかのファッション専門店が店頭でこれを訴求するほか、ソニープラザがネット通販で取り上げているのだが、いずれも中底の部分にユニフォーム背面のデザインをあしらい、鼻緒の部分にはその国の国旗をワンポイントマーク風に配置したデザインになっている。日本、ブラジルは勿論、イングランド、ドイツ、イタリア、スペイン、フランス、アルゼンチンなどのバリエーションがある。価格は2,415円。

旬のホットブランドと旬のイベントの結びつき。しかも価格も手頃で、いくつ持っていても欲しくなる、蒐集意欲を刺激する性格のモノである。また、ちょっとしたギフトにもふさわしい。サッカーＷ杯ドイツ大会に関連するグッズが様々見られるが、これはそのなかでも秀逸な企画と言えるだろう。