ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
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6.12.2006
先端を行く大人ファッションの縮小版〜子供ファッションMDの方向

このところ百貨店の子供服売場で新たな取り組みが活発に見られるようになっている。なかでも顕著なのが、テイストなどに多少の違いはあれ、「先端を行く大人ファッションそのままの縮小版」としての性格を持つ子供服を複数のブランドにわたって品揃えする、子供ファッションのセレクト型業態を新たに開発、あるいは導入する動きである。子供の世界のファッションの先端をとらえた、伊勢丹が展開する自主編集売場「リ・スタイル・ベビー」と「リ・スタイル・キッズ」はその注目すべき事例である。

心斎橋そごう、池袋西武、福岡三越などいくつかの百貨店に導入されてきている「イオ・ソノ・マオ」も興味を引く事例である。大阪に本拠を置くマオコーポレーションが展開するこの業態は、ベビーディオール、D&Gジュニア、アルマニ・ジュニアをはじめ、イタリア、フランス、スペイン、南アフリカなどヨーロッパを中心とする国々から独自にセレクトした10前後のブランドのベビー・子供服を展開するものである。

「イオ・ソノ・マオ」。

発表会やお招ばれにふさわしいかわいらしいドレス類に充実した品揃えが見られる他、スパンコールでできた大きなアップリケをあしらったTシャツや繊細なレースのキャミソール、デニムのスカートやカーゴパンツといったぐあいに、まるでメディアを通して見る海外のセレブリティのカジュアルな着こなしをそのまま縮小したようなおしゃまでナマイキなアイテムが並んでいる。Tシャツやキャミソールでも1〜2万円程度と決して安くはないが、ともにオシャレにうるさい親子にとっては手の出ない金額ではない。

「イオ・ソノ・マオ」をわかりやすく表現するなら、ハリウッドのセレブリティの華麗で豊満な印象を持ち味にする子供ファッションのセレクトショップ、ということになろうか。ともあれ、この店を見ていると、従来の子供服専門店に抱くイメージを大きく超える、新しいタイプの子供服専門店が台頭しつつあることを実感する。子供に趣味のいいもの、センスのいいものを着せるためには従来の常識を超える金額を支払うことも厭わないという親の姿勢にこたえること。そこにベビー子供服市場の新しい可能性があり、とりわけ、高感度・高質を業態特性にする百貨店には、こうした親の姿勢を刺激することを意図した子供服売場の再構築が求められている。





 

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