ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
■ツタガワ・トレンド・リサーチについて
4.1.2008
洗剤もビューティーケア・アイテムの性格を持つ時代

ボディショップ、ロクシタンがリードブランドとなって形成されてきた自然成分によるビューティーケア製品に、このところ新たなブランドが次々に登場し、カテゴリーとして急速に拡大してきている。また、イタリア発の「アグロナチュラ」のように、品薄状態が懸念されるほどのヒットブランドも出てきている。そんな新登場ブランドのなかで興味を惹くのがカナダ・モントリオール発の「フルーツ&パッション(Fruits & Passion)」である。このブランドは、天然の植物由来の成分を主に使用した、果物や花の香りを持つ独自の商品を魅力に、15のライン・合計300を超えるアイテムで構成されている。

構成の柱になっているのは、勿論、ハンドケア、ボディーケア、スキンケアの各アイテムで、特にボディーケアについてはキーアイテムとして多彩な展開が見られ、メンズライン、ベビーラインもある。しかし、このブランドの商品展開で見逃せないのが、「ハウスキーピング」と呼ばれる、家事の際に使用する洗剤類を領域として取り込んでいることである。具体的には、ホームクレンザー(1リットル・1,680円)、ガラスクリーナー(500ml・1,260円)、リネンウォーター、ルーム&ファブリック・デオドライザー(500 ml・2,100円)、ファブリック・ソフトナー、キッチンソープ、ディッシュウォッシュ(500 ml・1,260円)などが見られるが、自然派ビューティーケア・ブランドの商品構成がハウスキーピング関連のアイテムにまで広っているというのは実に興味深いことである。

「フルーツ&パッション」の洗剤類の訴求。「プラザ」銀座店で。

「フルーツ&パッション」ではこれらハウスキーピング関連のアイテムを、ハンドクリームも含めたハンドケアのテーマと結びつけながら提案している。そこには、洗剤を、家庭用品ではなく、手肌の手入れという点で意味のあるケア用品の視点でとらえようという語りかけが感じられる。実際、特にほとんど毎日使用する食器用洗剤については、どんな洗剤を使用するかで手肌の状態が大きく変わるというのは家事に携わる女性たちの多くが実感していることである。例えば、当初は環境への配慮を意識して自然派の食器用洗剤に切り替えたが、結果として手肌の状態が劇的に改善したといった声は決して少なくない。こうして自然派の洗剤は手肌への負担が少ないという点からも評価される商品になってきているのである。また、自然な石鹸をベースに作られた洗濯用洗剤などは、敏感肌の人や赤ちゃんの肌にも刺激の少ない、やさしい洗い上がりになると言う。

今日では、水仕事の際の手荒れ防止につながるゴムやビニールの手袋にも性能のいいものがいろいろと販売されている。勿論、手荒れを防止し、改善するハンドクリームの類にも素晴らしい効能を持つものがいくつもある。しかし今日の生活者は、手袋を使ってガードしなければならないような洗剤類を使うことにそもそもの疑問を抱き始めている。洗剤類をビューティーケアの視点からとらえていくというのは、現代生活者が抱く、そういった思いに語りかけるひとつの有効な切り口と言えるのである。





 

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