ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
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4.1.2008
『歳時記雑貨』〜粋人志向を刺激するMDの切り口

山梨の伝統的な製法による和紙をテーマに、ぬくもりのある、アーティスティックなホームアクセサリーとステーショナリーを展開する「めでたや」。なかでも季節歳時を細かくとらえた独自の商品に魅力と特色があり、特にニューイヤー・オーナメントについては百貨店などの「正月」MD(マーチャンダイジング)でも不可欠の存在になっているが、この「めでたや」が今春、エキュート立川のプロモーション・スペースに単独で臨時店舗を展開している。3月17日から4月6日の予定で展開されている今回の臨時店は、「めでたや〜春の和小物・桜で彩る食卓」と題したもので、桜をモチーフにした同社の和紙製品を幅広く展開するものである。

桜の花びらの上にのったかわいらしいウサギや手鞠などの置物。「桜茶屋」「春の花見」などと題した、和紙でできたミニチュアの飾り物。天然の香木を埋め込んだ、桜や菜の花を表現した飾り香。桜の花や枝を表現した小さなタペストリー。和紙で繊細な桜の花を表現した枝ものの飾りやミニブーケ、ガーランド。「めでたや」の人気商品のひとつで、消臭効果などのある炭を内蔵した、季節のモチーフを表現した(今回は桜がモチーフ)小さなホームオーナメント。桜の花びらをかたどった、桜色の和紙によるコースターやティーマット、懐紙、黒文字セット。様々な品種の桜を描いた便箋・封筒、一筆箋、ハガキ、和紙シール、ふみ香、祝儀袋、ぽち袋、ペーパーバッグなど。それぞれのアイテムについてデザイン・バリエーションも多彩で、ハガキには、一枚一枚ちぎり絵で作成されたものなどもある。

ホームオーナメント、テーブル用品、手紙用品、ラッピング用品類‥‥実に多彩なアイテムが集積され、売場全体が淡い桜色と桜のモチーフであふれた様子は年齢を問わず女性たちを引きつけ、また、ほとんどの商品が数百円から2千円程度という手軽さもあって、何か買いたい、買わなきゃと夢中にさせる。女性たちは友人とランチを楽しむといった際にも、発見価値のある小さなギフトを贈り合うことを楽しむものだが、「めでたや」の商品の多くはそういったギフトにもふさわしい。

ニューイヤー・オーナメントをはじめとする正月準備品や新年のテーマについては勿論だが、今回のように春には桜のテーマ、夏休みシーズンには夏の風物詩、秋には紅葉のテーマなど、「めでたや」には季節によって、歳時によって実に様々なテーマがあり、売り物がある。折しも小学館から週刊「日本の歳時記」(全50巻)が創刊され、季節の折々、あるいは歳時を祭りの心で楽しむ動きはこれまでにも増して大きくなっていくものと思われる。日本の伝承的な美を軽妙に語る「めでたや」の歳時MDは粋人を志向する現代の都市生活者の心を高揚させるものがある。





 

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