ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
■ツタガワ・トレンド・リサーチについて
7.17.2008
フローズンヨーグルト、再び

このところニューヨークでは1980年代を再生するような動きがいろいろ見られるが、フローズンヨーグルトの人気もそのひとつである。フローズンヨーグルトとは、ヨーグルトを撹拌して空気を含ませながら、砂糖などを加えてアイスクリームと同じように凍らせて作るスウィーツで、その特性はアイスクリームやジェラートに比較して圧倒的に低脂肪・低カロリーで、かつ身体にいい乳酸菌を含むという点にある。それがヘルシーなスウィーツとされる理由で、80年代初め、フローズンヨーグルトは、エアロビクスダンスが人気になり、みずみずしい心身の維持への関心が高まることと歩調を合わせて雨後の筍のように開発され登場するヘルシーレストランの定番デザートとなり、一大ブームを巻き起こしたのである。

ブームは去ったがヘルシーな食事を志向することが継続するトレンドになることと歩調を合わせて、フローズンヨーグルトはトンレディな食べ物ではないが、定番のスウィーツとして消え去ることはなかった。それが今度は、21世紀に入ってヨガが新しいエクササイズとして浸透していくことと密着して改めてみずみずしい心身の維持への関心が高まり、この定番化していたスウィーツを表舞台へと引き出すことになったのである。

ニューヨークにおけるフローズンヨーグルトを楽しむスポットと言えば、百貨店のブルーミングデールが1975年に店内に導入以来、その最も有名な存在であり続けている「フォーティー・キャロッツ(Forty Carrots)」がある。このカフェはヘルシーメニューを特色にするもので、そこでのイコン・メニューになっているのがフローズンヨーグルトである。その人気のほどは、7階のベッドリネン売場の奥にありながら、これを食べに、あるいはテイクアウトしにやって来る(テイクアウトを促進する巨大なテイクアウトエリアを設けている)顧客の行列ができていることでよくわかる。

「フォーティー・キャロッツ」もさることながら、このところのブームの火付け役となったのは新興勢力である。なかでも注目されるのが、3年前に韓国系女性がロサンゼルスで起業し、最近ニューヨークにも進出してきた「ピンクベリー(Pinkberry)」である。このチェーンは酸味系の味覚を特色にプレーンとグリーンティーの2種類のフレーバーがあり、これに好みに応じて、ラズベリー、キーウイ、マンゴーをはじめとするフレッシュフルーツをはじめ、グラノラ、アーモンドなど18種のトッピングを取り合わせて楽しむ。なお、ここが提供するフローズンヨーグルトの食感に独自性をもたらしているのが「もち(mochi)」である。これは餅の細片を好みによってミックスするもので、ナタデココに似た食感があり、これに惹かれるリピーターも多い。

「ゴールデンスプーン」。常時15種類前後のフレーバーを提供、ペーパーカップ入りでミニサイズ320円からラージサイズ580円まで。

フローズンヨーグルトは最近、東京においても改めて注目を浴びるものになりつつある。その発端になったと言えるのが、今年3月、六本木にオープンしたアメリカ・南カリフォルニア発のフローズンヨーグルト・チェーン「ゴールデンスプーン(Golden Spoon)」である。全米に90店舗を展開する「ゴールデンスプーン」は「アイスクリーム好きのためのフローズンヨーグルト」をうたい文句にするもので、実際、この店のフローズンヨーグルトは特有の酸味がなく、日本で言うソフトクリームのようなコクと滑らかさ、柔らかな食感である点が魅力になっている。勿論、それでいてアイスクリームよりも低脂肪・低カロリーで、カロリーは一般的なアイスクリームの約3分の2であると言う。このほか、5月に渋谷のビーム1階にオープンした「ピンクスウィートベリー」も見逃せない。こうして東京でもフローズンヨーグルトに対する新しい目覚めが起きてきているのだが、おそらくは情報消費の新しいテーマとなり、フローズンヨーグルト探検が盛り上がってくることになろう。





 

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