先鋭的なファッションブティックの集まる地区として発展してきているニューヨークのミートパッキング・ディストリクトで、この地区を象徴する店のひとつになっているのが「プーマ」ストアである。この店はいわゆるプーマ・ブランドの商品だけで構成されるものではない。複数のデザイナーとのコラボレーションによる服、シューズ、バッグを展開するところに特色と魅力がある。いずれにも共通しているのがアスレティック感覚と先鋭的な創造の才の結合であり、そのことがファッションの先端的な流れを感じさせる。ちなみに、昨春、東京ミッドタウンにオープンした「プーマ・ブラック・ストア・トウキョウ」はこの2号店で、商品構成、店舗デザイン共にニューヨークと同じである。

東京で同様の先端性をセレクトと自社ブランドのミックスで実現しているのがユナイテッドアローズによる新業態「サウンズグッド」である。紳士物・婦人物を展開するこの店の特色は、パフォーマンスウエアとしての高い機能性と、先端的なファッションの要素を兼ね備えている商品の集積にあり、国内外からセレクトしたブランドについては、アディダス・バイ・ステラ・マッカートニー、アディダス・ポルシェデザイン・スポーツ、北欧のヨガウエア・ブランドのカサールやローニッシュ、イタリアのアスレティック＆サッカーウエア・ブランドであるカッパ、英国発の気鋭のブランド、クリス＆ティボーによるレザーのスポーツバッグ、ハンターのラバーブーツ、マゼラン＆マロイのハンティングブーツ、レペットのバレエシューズといったものが見られる。

「サウンズグッド」。昨秋、ルミネ新宿2に1号店、さらに原宿に3フロア・店舗面積約200平方mの路面旗艦店もオープン

ちなみに、同じコンセプトによる売場開発の先駆的事例として見逃せないのが伊勢丹新宿店の「リ・スタイル・スポーツ」である。開設以来、アディダス・バイ・ステラ・マッカートニー、96アワーズ、ウェルコンフォ・バイ・チャコットなど定番的に扱うブランドに加えて、ダンスウエアのフレディ、ダウンウエアで知られるモンクレール、ロサンゼルス発の高感度なゴルフウエアブランドのロサーセン、エンポリオ・アルマーニのスポーツラインであるEA7、アンナ・モリナーリのカジュアルライン発のブルーガール・フィットネスなど、注目のブランドをタイミングよく取り上げながら、この売場は小規模ながらも常に「高感度なスポーツウエア」ではなく、「スポーツのニオイを持つ高感度なファッション」としての魅力を語り続けている。

身体のしなやかに動きに美のインスピレーションを感じ取る時代のなかで、スポーツ＆アスレティック感覚と先鋭的な創造の才の結合に新たなファッション性を見出す。そこに新しい刺激に富んだ、これまでにないファッション領域が形成されつつあることに注目しておきたい。