ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
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10.25.2008
スパイスのアイテムキラーの登場〜料理作りが趣味創作活動になるなかで

男性の間で料理作りが趣味創作活動として広がりを見せているが、その背後にホームパーティーの活発化があることを見逃せない。ホームパーティーは料理という自分の作品の「発表の場」になるからである。そういったゲストをもてなす自作の料理として人気になっているのがカレーライスである。日本人にとってきわめて日常的な料理だが、平凡に見えて実は非凡なものにするということでは創造意欲の湧く料理でもある。そんなことと関係があろうか、このところ、スパイスの専門店がにわかに注目の存在になってきている。

そのひとつが自由が丘に誕生した「レピスエピス(L'epice et Epice)」。この店でまず驚かされるのは、その品揃えの豊富さ。ターメリックを思わせる渋味のあるイエローをテーマカラーにした店内には、日本初入荷などの希少なものも含めて世界から集めた約120種類のスパイス/ハーブと約30種類の塩がずらりと並んでいる。店内には量り売りができるものも豊富に用意されているが、この店のシンボルになっているのが、スパイス/ハーブを、同店が「チューブパッケージ」と呼ぶ、長さ15cmほどの試験管状のガラス容器に詰めて陳列・販売していることである。店内中央にこれらが並んだ様子は圧巻で、来店客をいつの間にかスパイス探検にはまり込ませる力を持っている。なお、これらのスパイス/ハーブには1点ずつ、詳細を記したカードが添えられており、店頭には深い専門知識を持つスタッフが常駐し、顧客の相談などにも気軽に応じている。

「レピスエピス」。 「ポワヴリエ」。

同様に世界から集めた100種類のスパイス/ハーブを量り売りで販売するのが表参道ヒルズに展開する「ポワヴリエ(Poivrier)」である。小規模のカフェを併設し、そこで提供される独創的なスパイス料理にも魅力を持つ店であるが、ここで注目されるのが店内で開催される単発の有料講座である。スパイスについて学ぶコース、ハーブについて学ぶコース、スパイスを使用したカレーについて学ぶコースの3種類についてそれぞれ2段階の講座が用意されているのだが、カレーのコースでは、実際にオリジナルのカレーパウダーのブレンドにも挑戦しながら、本格的なスパイスを使用したカレーの作り方は勿論、地域ごとに異なるインドカレーの特色などについても学べる内容になっている。ちなみに、いずれも3人までの予約制で、所要時間40分・3,000円。

料理作りも家事労働ではなく、趣味となると、薀蓄を傾けたいところがいろいろと出てくる。しかも男性が参入してくるとなるとなおさらである。そのことは食材の分野にもこうした専門性を深耕する、アイテムキラーと呼びたい業態を生み出す要因になるということだ





 

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