ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
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10.20.2014
いいモノと長くつき合う消費姿勢と質の高い手入れと

質の高さ、美意識の高さを求めて日常の暮らしと向き合うこと。そういった生活姿勢を持ち、実践することがクラス感の高い生活者であることを自覚させる時代である。人はいつの時代も何らかの形でステイタスを語りたいと思っているものだ。ただ、それを語るステイタスシンボルになるものは時代とともに変化する。例えばかつては自動車がそうであったように。では、今それに該当するものは何か。センスのいい、質の高い日常生活を具現化している生活感覚である。つまり、モノというハードではなく生活感覚というソフトがステイタスを語る重要なポイントになってきていると言えるのである。

こうして、日常生活の瑣末な部分にもセンスの良さを追求することが生活の充足感として意識されるようになり、石鹸一個といえども手抜きのできない『センスのいい生活の断面』になってきている。さて、そんななか同じような意味を持つものとして関心が高まってきているのが洗剤、それもニューヨーク発の衣料用洗剤「ザ・ランドレス」である。2004年設立のこのブランドは、ブルックス・ブラザーズ、ラルフ・ローレンでバイヤー、デザイナーとして働いてきた二人の女性が興したもので、高品質な素材についての知識と経験をベースに、大切な服はドライクリーニングではなく自分で洗うことを提唱するのである。

ルミネ新宿2での「ザ・ランドレス」の専門店展開。

「ザ・ランドレス」の最大の特色は、例えば、白い衣類用、濃い色の衣類用、デニム用、カシミアなどのデリケートな素材に特化したものといったぐあいに、生地ごとに成分の違う洗剤を揃えていること。また、環境への配慮も特長のひとつで、成分に石油系原料を使用せず、植物性原料を使用しており、洗った後の排水は自然分解され、すべて自然に還る。この点での共感者も多いと思われる。ちなみに、価格は基本的な洗剤が1本(1?)3,675円。高級と呼ぶにふさわしい洗剤である。

「ザ・ランドレス」は洗剤のほか、柔軟剤、衣類に香りをつけるスプレー、しみ抜き剤などファブリックケアをテーマに様々なアイテムを揃えている。となればこれらをすべて揃える専門店が成立するわけで、ルミネ新宿2ではファッション店を集積する2階の一画に「ザ・ランドレス」の専門店を導入している。店はごく小規模であるが百種類の商品を展開しており、新しい専門性を掘り下げる店として成立し、魅力ある存在になることを実感する。このように専門店としての出店に可能性を感じさせるのであるが、日本でこのブランドを広げてきたのは高感度を自覚するファッション店である。「ザ・ランドレス」が「ファッションを愛する人の洗剤」を謳っていることもあろう、これを扱っていることが質の高いファッションを売る証になる。そういった意識も働いてのことと考えられるが、ファッション業種のいくつもの店が競って扱うようになり、一気に市場に浸透してきているのである。

周囲の生活者と「ザ・ランドレス」との関係を見ていて興味深いのが、これがギフトやテミヤゲになっていることだ。例えば、ベビー服とそれに適した洗剤を出産祝いにするといったように。そこには、使ってみて感動したモノを「おすそ分け」感覚で贈るという一面もあるのだが、より大きな動機は自分の生活感覚や生活姿勢を贈ることにあると考えられる。つまり、日用品である洗剤について「ザ・ランドレス」のような高質なものを贈ることは、日常生活に質の高さ、センスの良さにこだわり、追求していることの表現になるのである。このように、今日においてはギフトやテミヤゲにはクラス感の表現という一面があるのであり、これはギフトやテミヤゲを考えていくうえでのきわめて重要な視点になるのである。

ところで、「ザ・ランドレス」で想起するのがウォータークリーニングである。これは、服と人体にとって安心安全とされ、高質な服を大切に着込んでいく人たちを惹きつけている高質なクリーニングサービスである。一部の百貨店やメンズファッション専門店のなかにはこのサービスを提供しているところがあるのだが、そこには高質な服を売っているのだという自負心をうかがえるのである。それは即ち、質の高い手入れを提供することが、質の高いモノを提供している証になる、ということだ。

手入れと言えば思い出すのが、80年代の初め、ニューヨークで働く男女の間で注目されるようになったバッグのコーチのことである。今でこそ多様な素材とデザインによる幅広いコレクションを展開しているが、1941年の誕生以来、このブランドの特色は高品質のレザーバッグにあり、装飾性を排除したシンプリシティを究めるデザイン性とクラフトマンシップとが一体になって、感覚的にも物性的にもタイムレスな魅力を持つものとして評判を確立してきたのである。そして、当時のコーチ・ストアで印象に残っているのが、販売員がバッグを購入する客一人ひとりに手入れの方法についてていねいな説明を行い、さらには手入れのためのコーチ特製のクリーナーを薦めていたことである。


周囲の生活者と「ザ・ランドレス」との関係を見ていて興味深いのが、これがギフトやテミヤゲになっていることだ。例えば、ベビー服とそれに適した洗剤を出産祝いにするといったように。そこには、使ってみて感動したモノを「おすそ分け」感覚で贈るという一面もあるのだが、より大きな動機は自分の生活感覚や生活姿勢を贈ることにあると考えられる。つまり、日用品である洗剤について「ザ・ランドレス」のような高質なものを贈ることは、日常生活に質の高さ、センスの良さにこだわり、追求していることの表現になるのである。このように、今日においてはギフトやテミヤゲにはクラス感の表現という一面があるのであり、これはギフトやテミヤゲを考えていくうえでのきわめて重要な視点になるのである。

ところで、「ザ・ランドレス」で想起するのがウォータークリーニングである。これは、服と人体にとって安心安全とされ、高質な服を大切に着込んでいく人たちを惹きつけている高質なクリーニングサービスである。一部の百貨店やメンズファッション専門店のなかにはこのサービスを提供しているところがあるのだが、そこには高質な服を売っているのだという自負心をうかがえるのである。それは即ち、質の高い手入れを提供することが、質の高いモノを提供している証になる、ということだ。






 

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