ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録
■ツタガワ・トレンド・リサーチについて

7.14.2011
クールビズ「スタイル」を売る視点を

節電のなか、仕事関係で出かける先はこれまでに比べて例外なく暑い。昨年までのようにジャケットを着て会議に出るというのは苦痛である。勿論、ジャケットを必要とする職種もあろうが、シャツで完結する着こなしが2011年版クールビズの基本線と言えるだろう。そこでシャツ一枚で様になるようデザインされた半袖・長袖シャツ、ボタンダウンで襟が立つように工夫されたポロシャツ、通称ビズポロがビジネスピープルの関心を集め、ヒットアイテムになっている。ジャケットを着ることを前提にすればいわゆるワイシャツでもどうにかなったのだが、シャツ一枚で完結ということになるとそうはいかない。そこに新たな需要が生まれるわけで、およそ着るものについては「持っていない」と実感させることが購買につながるのである。

2011年版クールビズのホットアイテム、ビズポロ。

ところで、これまでもそうなのだが、クールビズを観察してきてシャツ姿で気になることがある。それは首周りがしばしばだらしなく見えることだ。原因は2つ。1に、第1ボタンと第2ボタンの間隔が空き過ぎていること。当然、第1ボタンを留めずに着るわけだから、ネクタイを締めることを前提にした通常のワイシャツの間隔では喉下あたりがだらしなく露出する。2に、ボタンダウンの襟は時間の経過と共に外側に傾くこと。これもネクタイをしていれば起こらないことだが、その結果、首と襟の間が開いてしまい、だらしなく見える。つまり、ボタンダウンの襟には企画の際に細心の注意が必要なのである。メンズファッションというのはディテールが完璧であることがポイントだと思うのだが、これまでのところ満足できるブランドはごくわずかである。しかし、それ一枚で様になるシャツの本質とは行き届いたディテールにあり、作る側の男のオシャレへの感性の欠落を痛感するのである。

さて、シャツで完結する軽装になれば、そこで意識させたいのが「軽さ」の美である。つまり、クールビズを感性的に翻訳すれば、それは「軽さ」の美であると。それは下に着るボトムにも求められ、例えばチノパンツをクローズアップすることができる。上下がそうなれば、靴もデッキシューズのような軽量感のあるものがいいし、ベルトもメッシュベルトのように軽妙なものがいい。いや、それだけではない。ビジネスとしての重厚さを感じさせるいわゆるビジネスバッグよりも、軽い気持ちで持てるトートタイプのバッグがいい。さらに、シャツの胸ポケットにも納まるような、薄くて軽い財布(アプラサスやホワイトコックスなど優れたモノがある)も重要な訴求アイテムになる。このように2011年版クールビズは、「軽さ」の美に焦点を当てることで、衣料にとどまらず、紳士の服飾雑貨にも大きな需要を創造できるのである。

百貨店をはじめ、クールビズを訴求する店を歩いてみて感じるのが、一人の顧客からもっと多くの購買を引き出せるにもかかわらず、その点での取り組みが不十分であることだ。つまり、どんどん「気づき」の連鎖反応を意図していくことが重要なのであり、靴もベルトも財布もバッグもクールビズ・スタイルにふさわしいモノがあるのだと認識させ、目指す売場へと誘導していく仕掛けが欲しいのである。クールビズのシャツを売るのか、クールビズ・スタイルを売るのか。その点をよく考えてみたいものである。





 

株式会社ツタガワ・アンド・アソシエーツ

会社プロフィール 業務案内 蔦川敬亮プロフィールプライバシーポリシーお問い合わせ