with interest in people

2015年6月12日開催

1.注目事象から

(1)日本探索〜さらに大きくなる関心事

◆和食に続いて和紙が世界無形文化遺産に登録された。伝承的な匠の技と結びつく和紙はこのところ高まってきている民藝運動と民藝への関心の高まりとも関連を持ち、日本探索の動きを活発化する。後押しするものとしては、北陸新幹線開業による日本の魅力を語る金沢への注目が持続することや、明治日本の産業革命遺産の世界遺産への登録勧告も。
・和紙への関心が高まる中、京都に本拠を置く和紙製品の専門店「和詩倶楽部」が興味を惹く。実に様々なアイテムが企画されており、日本人としての「たしなみ」について啓発されるものがある。
◆訪日外国人客が増えていることも日本の伝統や伝承への関心を高める要因に。文化資源は観光の対象になり、同時に民藝作品の要素を持つモノは魅力的な日本ミヤゲとして高く評価される・・・・例えば、こけし。特に群馬の「卯三郎こけし」。「風土が生み出した『美的物産品』」として、さらには美的価値を持つオブジェとして評価される。
◆日本の美に素養を持つことが高等な人物の条件として意識される時代でもあり、日本は日本人生活者にとって最もエキサイティングな対象になり、さらには外国人客を巻き込んで、日本探索はさらに大きなトレンドになる。
・「正月」も改めて掘り下げてみたい消費意欲を刺激するテーマになる。


(2)スーパーフード〜心身に効く食事や食べ物の探索

◆「健康管理に努め、医療費を抑制する」ことを生活規範として意識する時代にあって、大きな関心事になっているのが「運動の習慣化」と「正しい食生活」。背後には「サウンド=肉体・精神などが完全な健康状態であること」への強い思いが。こうした中、食探検・食探索の新たなテーマが「心身に効く食事や食べ物の探索」。
◆スーパーフードへの関心の高まり。スーパーフードとは、栄養バランスに優れ、一般的食品より栄養価が高い食品や、一部の栄養・健康成分が突出して多く含まれる食品を指す。例えば、スピルリナ(藻の一種)、アサイー、カカオ、ココナッツ、チアシード(ミントの一種)、クコの実など・・・・ビタミンやミネラルが豊富でアンチエイジング効果があるポリフェノールを大量に含み抗酸化作用に優れているといった、「これ」という効用を持つ。
◆健康意識の高い食品店は勿論、ナチュラルコスメ専門店でもこれを扱う例が増えている。また、グランツリー武蔵小杉1階にある食品スーパー「グランツリーマルシェ」では、その名もずばり「スーパーフーズ」と名付けたゾーンを設けている・・・・スーパーフードが食品展開における必需のMDになる可能性を察知。
◆「心身に効く」食事や食べ物を探索する動きは、食べる・飲むではなく「摂取する」姿勢をもたらしている・・・・食と向き合う際の新しい価値観に。


(3)アーバンマザーを刺激する、もてなす

◆わずか数年で通過するライフステージだが、小さな子供と一緒の生活を『ファッション』と感じ取り、このライフステージでしかできないファッショナブルライフを徹底してエンジョイしていく・・・・アーバンマザー。子育てとセンスのいい暮らしの両立。
◆オシャレなお出かけ着をベビーにも。ベビーの外出着(70・80p)がアーバンマザーを惹きつける重要なカテゴリーに。新しく生まれてきているベビーファッションの領域。
・注目ブランド:「ディーフェセンス」・・・・ベビーが着る大人服を謳う。買える価格帯にあることも魅力。
◆乳幼児連れでオシャレなカフェで飲食を楽しむ。カフェがセンスを見せ合う場になっている・・・・ホットスポットがロンハーマン・カフェ。親子で過ごせる、心地いい、センスのいい、質の高い料理を提供するカフェが新しい来店装置に。
・注目新事例:伊勢丹新宿店が6階に導入した親子カフェ、「ラッテ・チャノママ」。玉川島屋SCが導入した「ジェラートピケ カフェ ビオコンセプト」。
◆化粧室の次はベビー休憩所・・・・その店のゲストをもてなす姿勢があらわれる場所に。そこに求められる用途、役割を検討し、複数の空間で構成。授乳やオムツ替えにとどまらず、一息ついて過ごせる場所にレベルアップ。


(4)改めてユニセックスに注目〜ジェンダーレス社会が進行する中で

◆ワークウエアがファッションとして関心を集める中、高感度な品揃えを魅力にするセレクトショップで、フランスのワークウエアブランド、「ダントン (DANTON)」のジャケットがユニセックスのホットアイテムに・・・・ユニセックスがキーワードに。再び人気になってきたペアルックにもあらわれていること。
◆ユニセックスはジェンダー(社会的性別)意識の高まりとともに生まれてきたファッション価値で、ジーンズに始まり、これまで様々な商機をもたらしてきている。歴史を振り返るとユニセックスには2つの主語がある。
@社会的地位の向上を目指す女性・・・・60年代半ばから20世紀いっぱい。
A性別に対する社会の一般通念にとらわれず行動する男性・・・・21世紀に入って。
◆@のユニセックスはメンズがベースになり、基点になっていることがポイント。男の感性がユニセックスの基本的なファッション価値に・・・・40年を経て今なお鮮度を維持。一方、Aのユニセックスはレディスが基点になり、女の感性がファッション価値に・・・・注目新事例としてロイスクレヨンの新業態「エイチティー・マニアック・メン(h.t.maniac men)」やヨウジヤマモトの実験的ユニセックスファッション店「グラウンドY」など。
◆女性を刺激する感性が同時に男性をも刺激する・・・・やがて常識になると予測でき、こういったところから男の消費に新しい流れが生まれてくる。既成概念を崩壊させることが次を拓く時代。


(5)哲学的なものに惹かれる

◆この時代にあって改めて関心を集め、年齢や世代を超えて人気になっているキャラクターが3つある。1に、いがらしみきおによる漫画『ぼのぼの』。1986年の発表以来、愛されてきているロングセラーの漫画。2に、『ムーミン』。フィンランドのトーベ・ヤンソンによる小説及び漫画で、世代を超えて伝承されてきている古典。3に、アメリカの漫画家、チャールズ・M・シュルツによる『ピーナッツ』。1950年に始まったこの漫画は、シュルツが没する2000年まで半世紀にわたって続き、知的な大人たちにも愛されてきた名作。
・関心と人気の高さを感じさせる共通点のひとつがキャラクターグッズの人気。
◆3つの漫画には人々の心をとらえる注目すべき共通点がある・・・・登場人物がしばしば、考えさせられる言葉を発すること。生き方の根源に迫る言葉がちりばめられていること。漫画という、親しみやすい、しかも子供向けと思える軽い大衆文化の中に、心を揺さぶる深いメッセージがあること。即ち、哲学的であること。これこそが現代人が惹かれるポイント。
◆これまでの世界や社会を維持してきた制度が疲労し、行き詰まり感の出てきている時代情況にあって、立ち止まって自分の内面をていねいに見つめることが大きな関心事になる。書店にはその手がかりになる、教え、人生訓、生活訓の内容を持つ本が数多く並んでいる。根源に迫るということでは誠に哲学的であり、それはこの時代を特徴づける空気。


(6)ボーホーシック/時代性とのつながり

◆時代が大きく動き、新たな生き方や生活観を模索する情況になると、きまって浮上してくるファッショントレンドがボヘミアンスタイル・・・・リーマン・ショック後の生活観が転換していく2009年。1990年代前半のバブル崩壊後の大ブーム。また、1960年後半から70年代初めにかけての、若者による反体制革命の時代にも。当時台頭してきたヒッピーの生き方に影響を受けたもので、ヒッピーはアメリカにおけるネオ・ボヘミアニズムの起源。
◆旧い制度に「行き詰まり感のある」時代情況から生まれてくる空気が「自由と解放」の精神。その精神はボヘミアンに通じ、ボヘミアンスタイルがファッションの重要なインスピレーションになる。
・アメリカでは「ボーホースタイル」「ボーホーシック」という言葉も。「ボーホー(BoHo)」とはボヘミアンとソーホーを組み合わせた造語で、都会的なボヘミアンスタイルを意味。
◆「自由と解放」の精神のシンボルは70年代前後のヒッピーにも求められる。かつてのヒッピーに固有の着こなし表現をモダンに魅惑的に解釈すること。そのことが同様の時代の情況にある現代人の気持ちに働きかける・・・・「グラマラス・ヒッピー」(魅惑的なヒッピー)がキーワードに。これに関連する様々なトレンド。
・フラワーパワー。ボヘミアンスタイル。白のレース。フリンジ。パッチワーク。民族風スタイルのディテール。ナチュラルヘア=ヒッピーヘア。


2.「成熟した知的生活」/ポートランド・スタイル

《ライフスタイルを発信する注目の都市、ポートランド》
◆数年前からアメリカのクリエイターを中心に年を追って関心を集めるようになってきた環境都市で知られる、オレゴン州ポートランド。温暖な気候に恵まれ、都市と自然の融合する全米で住みやすい都市NO1。関心を集めている一番のポイントは、成熟した生活観、消費観を持つ生活者に、「あるべきものはこれだ」と言わせる暮らしが成立していること。
◆ポートランドを特徴づけるモノ、コトは多様。アウトドアライフ・・・・スポーツやアウトドアに関する企業が多い土地柄との関連を感じさせるもの。ライトレール、自転車(全米で一番の自転車の街)・・・・環境都市を語るキーワード。DIY文化、クラフトピープル、クラフトビール・・・・手仕事を尊重する街に関わるキーワード。ギャザリング(集まり)・・・・絆を感じあえる生活。同性愛者・両性愛者・・・・いろいろな生き方を認める。現代人が共感できるライフスタイルを明快に感じさせる都市。
・60年代から70年代にかけて、ポートランドはヒッピーの聖地であり、それが遺伝子になっている。環境を尊重する姿勢、ギャザリングとつながりを大切にする生活、自活につながる手仕事・・・・これらはいずれもヒッピーに通じる特質。

《生活観や消費観をリードするライフスタイル誌/『キンフォーク』》
◆ポートランド発の季刊誌「キンフォーク(KINFOLK)」に注目。地域に根差したライフスタイル誌でクリエイターや鋭敏な生活感覚を持つ人々の関心を集めている。内容は精神的豊かさの追求を強く感じさせ、共感を呼ぶ。日本でも高まってきている、「日々の暮らしとていねいに向き合いたい」という生活意識と重なり合う。
◆取り上げているのは、自然を日常の暮らしに取り入れるヒント、地元で獲れる食材を生かしたレシピと愛用の道具での料理作りと、愛用の器で楽しむ日常の美味しい食事、週末にしてみたいアウトドア活動など、ポートランドの自然環境と対話する暮らしや、ギャザリングを大切にする暮らし。全体を貫く基調は飾り気のなさだが、クリエイティブな要素やアーティスティックな要素を注入し、生活感度を刺激するセンシティブライフを追求。
◆『キンフォーク』の編集長がディレクターとして立ち上げたライフスタイルブランド「アウアー(Ouur)」。ありのままの、美しい暮らしをコンセプトに、上質で実用的でシンプルなモノを提案・・・・メンズ・レディスの衣服、テーブルウエアやテーブル周りをはじめとする家庭雑貨。無駄を排除したミニマリズムの美と、ていねいなモノ作りの技が共通。
・日本では「アクタス」がMDユニットのひとつとして取り入れ、展開。

◆サスティナビリティ、いいモノと長く一緒に暮らす、洗練されたレス・イズ・モア、絆・・・・ポートランドそして『キンフォーク』から、時代をリードする生活意識のキーワードが浮かんできて、心安らぐ生活の大切さを教えられる。理想とするライフスタイルの教本がそこにある・・・・この教本は生活感度の高い人たちの共感を集める先進性を持っている。時代をリードする生活観、消費観として注目。


3.スローライフに心を寄せる

《風土に心を寄せる》
◆ブルックリン区にはクラフトビールの醸造所が多く、地元食材を使った料理を提供するレストランも多い・・・・ブルックリン区が注目され、人々を惹きつける理由。日本で今同じような理由で注目されているのが湘南・・・・近年のスローライフを志向する動きは湘南から生まれたのだが、海と山が迫る湘南には豊かな食材がある。
・湘南の土地柄と生活文化を踏まえ、「洗練されたスローライフ」を店作りの軸にしているのが新たに開業した湘南Tサイト。この複合店はスローフードをクローズアップし、湘南生活者の生活姿勢を刺激。
◆地産地消を尊重する動きは「ていねいな暮らし」を志向する動きと密接に関係・・・・その志向は生活している足下の風土を愛することへと発展し、さらに「地域を見直す」「その土地らしさを愛おしむ」動きへと広がっていく。風土を尊重し、仲良くすることはスローフードのスローにも通じ、風土と仲良くする暮らしは『スローライフ』と言える。
・風土とは文化の形成に影響を及ぼす地理的、精神的環境。
◆風土への思いはその土地の伝統的な食文化、食材、食品を見直すスローフード運動ともつながる。そのことは産業化、工業化された文明としての食べ物を見直し、本来の意味での文化としての食べ物を大切にしていく機運の高まりとなってあらわれる。また、このことと関連して、食においては改めてオーガニックフードへの関心が高まってきていることも見逃せない・・・・背後にある、暮らしとまじめに向き合うことが高等な生活者であるという意識の広がり、サスティナビリティを生活規範にする生き方への目覚め。

《地域に目を向ける》
◆先回取り上げた、アメリカ大手小売業のひとつアーバンアウトフィッターズがニューヨーク市ブルックリン区に地域に根差す店を創った事例・・・・小売りというよりも、地域社会に参加する姿勢での出店が興味深い・・・・ナショナルチェーンをローカルストアとしていかに着地させ、地域で愛される店に創り上げていくことができるか、その優れた事例。
◆画一的な店を出店することでの成長には限界が来ていることを痛感。持続的繁盛は地域に根を下ろしてこそ可能になる。画一性と、それとは対極にある地域性をどう折り合いをつけて店作りを進めていくのか。ローカルストアを創ることは産業化された小売業の課題。
・地域に根差した、地域で愛される店作りを進めるユニクロ吉祥寺店。
◆「d47ミュージアム」で企画開催された『Problem to Product Exhibition Store―47都道府県の地域問題から生まれた製品』が社会に問題提起をする催しとして話題に。日本の各地には、伝統工芸の職人の後継者不足、自然環境の破壊、産地の衰退など、様々な地域問題があり、その解決のためにいろいろなプロジェクトが生まれている。この展覧会では、47都道府県の地域問題から生まれた製品を取り上げ、販売。
・買い物をすることで地域問題を支援する・・・・フェアトレードにも通じる姿勢。「支援・応援」が地域問題と結びついてきていることに注目。


4.これでいい、これがいい〜2種類の消費観

◆消費増税後にはっきりとしてきた「買い物としっかり向き合う」姿勢。買い物に際して、それをなぜ、どう必要としているのか、買った後、それとどんなつき合いをしようとしているのか・・・・そんな問いかけをしながら買い物と向き合う。生活者はモノやサービスの価値を自分に照らし合わせて追求する習慣を身につけつつある。
・リーマン・ショック、東日本大震災、そして消費増税・・・・消費観に影響を与えた3つのきっかけと、買い物を通しての学習がもたらしたこと。

《「これでいい」》
◆その問いかけから出てくる消費観のひとつが「これでいい」。一種の妥協でもあるが、けっしてネガティブなものではない。ポジティブに「それでよし」としているのであり、購買につながる価値そのもの。
・その代表的ブランドが無印良品とユニクロ・・・・「これでいい」という消費観を持たせたことで消費の歴史に残る。
・ファストファッションやファストザッカも人によっては「これでいい」の対象に。
◆「これでいい」が意味するのは・・・・モノとして最も気に入っているわけではないが、実生活での使用・着用を考えた場合、価格と品質のバランスが取れていること。実質的価値を尊重する消費姿勢に応えること。この姿勢を刺激する、「これでいい」の気持ちに応える実質的価値を究めるモノやサービスの開発に商機がある。
◆モノでステイタスを語る。その姿勢を捨ててみると、消費の対象となるモノやサービスの中には「これでいい」で十分に満足のいくものが数多くある・・・・例えば、乗る車にステイタスを意識せず、自分のライフステージと生活での利用を見つめると、「軽自動車でいい」。
・財の所有に関心のない人たち・・・・シェアリングエコノミーの浸透。

《「これがいい」》
◆その一方で、「これがいい」というこだわり型の消費観も。「これでいい」「これがいい」・・・・人は2種類の消費を使い分ける。ここにこれからの消費を展望していく手がかりがある。
◆「これがいい」につながる価値・・・・デザイン性の高さ、即ち美的価値。クリエイターの力はこれまでにも増して重要になる。作りの良さ、即ちクラフトマンシップ。革新的機能も。直近では「アップルウォッチ」など。「これがいい」と言わせるには何か特別な要素が必要で、それがあることが感動につながり、感動が「これがいい」に発展する。
・重要なのはデザイナーブランドという記号ではなく、他にない創造性そのもの。
・「ファンクショナル・ラグジャリー」は最もパワフルなキーワードのひとつ。
◆こなれた価格、買いやすい価格のマス商品があふれている時代。さらにそれらが同質化することで買い物をフラットで退屈なものにしてきている・・・・この10年の間に郊外立地のSCが激増したことが大きな背後要因。こういう状況にあればこそ、何か突き抜けたものを持つ、「これがいい」と思えるモノやサービスが欲しい。


5.店ではなく、場を創る

◆若いライフステージの都市生活者のライフスタイルストア、アーバンアウトフィッターズ(UOF)がマンハッタンに巨大店(3フロア・5,700u)を開設。カフェ、ヘアサロン、ミュージック・レコード、メガネ、コレクティブル雑貨などについて外部から導入した、ファッションSCとしての店作りが興味を惹く。様々なカテゴリーがオープンな環境で融合することでケミストリーが起き、ファッションの本質に通じるトキメキが生まれている。
・なかでも目を引くのがアナログレコードの店をミックスしていること。またアウトドアライフをテーマにするゾーンを構成要素に取り込んでいることも注目される。
◆異なるカテゴリーをミックスすることがトキメキを生み、精神を高揚させる。その触媒になるモノのひとつが本。既に興奮と刺激のある事例が見られるが、新しい注目事例が湘南Tサイト・・・・蔦屋書店の中に境界を設けることなく様々な業種にわたる30の物販・飲食・サービスの店で構成する、7,500uの複合店。興味を惹くのが本で文脈を創っていく店作り手法。それが異業種のミックスにつながりを与え、精神を高揚させる。
・代官山Tサイトに始まって。二子玉川ライズにオープンした蔦屋家電にも。
・店がショップや売場の集積体にとどまらず、進んで時間消費したくなる、過ごす楽しみのあるところになっていること。
◆店には行きたくなる要素が必要。買い物をするだけの店であれば、用のある時に行けばいいし、場合によってはネットで買えばいい。店は過ごすために、見るために、楽しむために出かけ、そのついでに買い物するところでなければ存在価値はない。
・店は店であることを捨て、行きたくなる場であること。買い物は何かのついでにしてもらうもの、その視点からの『場作り』が求められている・・・・ライフスタイルセンターに学ぶこと。
・試す場に価値を求める事例も・・・・文具専門店「インク」が開いた大型店。ボールペン全種類試し書きができるなど、体験できることに価値を見出す。
◆アメリカのSCの空室率は10%を超え、40%を超えるところも40か所ある。要因はいろいろあるが、ネットでの買い物の急速な広がりが小売りの世界の勢力図をわかりにくいものにしている。また、市場全体にオーバーストアの状況が顕著になっていることも。画一化されたフォーマットの店を多店舗出店することで産業化を極めるところが勝者になるという、80年代以来信じられてきた成長の法則に疑問が出てきている時代。
◆重要なキーワードは「ディスラプト(disrupt)=崩壊させる」。既成の伝統的な小売りのビジネスをディスラプトすること。そこから新しいビジネスの法則を求めて模索していく時代に。外部環境は猛烈なスピードで変化する。きわめて流動的な社会が訪れている。「生き延びるのは最も強い者でも、最も賢い者でもなく、『変化できる者』だ」・・・・ダーウィンが『進化論』で述べていることがあてはまる時代。


以上



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