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2019年6月14日開催

1.注目事象から

(1)「キャンプ」〜良識を蹴散らす美学に注目

◆ニューヨークのメトロポリタン美術館コスチューム・インスティテュートが開催している展覧会、「キャンプ:ノーツ・オン・ファッション(Camp : Notes on Fashion)」が話題を集めている。これはアメリカの作家、スーザン・ソンタグが1964年に書いたエッセイ「『キャンプ』についての覚書」に触発されたもの。
・「キャンプ」は1909年に辞書で取り上げられた言葉で、ソンタグはこれを「不自然なもの、人工的誇張されたものを愛好する感性、美学」と定義。
◆展覧会は17世紀に遡って「キャンプ」の起源を探り、それを踏まえつつインパクトの強い近代・現代のデザイナーファッションを取り上げる・・・・そこからは「キャンプはコメディーであり、スペクタクルなもの」といったメッセージが汲み取れる。また、実用性を重視する昨今のファッション観への問題提起も。
・キャンプの起源には女装やホモセクシャルの服装、さらには性別を超えた装いが取り上げられている。
◆サスティナビリティ、ポリティカリー・コレクトなど規範に沿って社会的に正しい生活を志向すべき時代。そのことが閉塞感をもたらし、「キャンプなもの」への関心につながっている。人々は「良識」を蹴散らす、型破りでエネルギッシュなものを望んでいる・・・・トキメキを与える常識を破る新しさや、感性に働きかける驚きを。
・考えてみればトランプ大統領は『キャンプな人物』。


(2)新たな作業服提案が日常着需要を創造する

◆作業服や作業用品の専門店の最大手「ワークマン」が一般に向けてカジュアルファッションの店として開発した「ワークマンプラス」が賑わいを見せている。価格は安く、実用本位の買い物をする人たちを惹きつける。SCを中心に次々に出店。
◆マンションの給水管洗浄などを手がけるオアシスライフスタイルグループが開発し発売した作業着が評判になり、大ヒットしている。ポイントはスーツスタイルの格好良さ・・・・客の家に上がって作業することが多いことに配慮して生まれたスタイル。動きやすいスポーツ用の伸縮素材に防水・撥水・速乾機能を付加。勿論、丸洗いOK。
・価格はジャケット18,000円、パンツ12,000円。
・女性用もほぼ同じ仕様で開発。価格は男性用よりもやや高い。
◆23区内のゴミ回収業者やビル・マンションの管理会社にも採用され、BtoB事業としても期待が持てる。スーツスタイルのワークウエア・・・・市場創造の着眼点として面白い。また、一部の高感度ファッション店がこれをビジネスウエアとして取り上げ、展開しているのも注目される。


(3)本を売るのではなく新たなサービスを提供する

◆六本木の青山ブックセンター跡にオープンした「文喫」がこれまでに例のない業態として興味深い・・・・書籍売場、カフェ、書斎空間で構成する、リブロプラス運営の『書店』。ポイントは入店に際して1,500円の入場料を払うこと。
・店は吹き抜け構造を生かした3層。書籍売場となる「選書室」、それに隣接する「喫茶室」と呼ぶセルフスタイルのカフェ、「閲覧室」と名付けられたエリアで構成。
◆入店客はコーヒーあるいは煎茶が無料で飲め(お代わり自由)、選書室の書棚に並んだ本から好きなものを選び、閲覧室や喫茶室に持ち込み、コーヒーなどを飲みながら読んで過ごせる。喫茶室では食事メニューも提供(別途支払いが必要)。その気になれば長時間、好きなだけ滞留できる。
・開業して半年、週末には入場制限のかかることも。
◆「文喫」のコンセプトは『シェアする書斎』と言える。注目したいのは、本を売るのではなく、本を媒介にして新たなサービスを提供する姿勢・・・・小売業がサービス業の視点と発想を得ることで新たな事業展開を描ける時代にあって。優れた事例。
・月会費や年会費を払うサブスクリプション型への移行も想定される。


(4)反応を見ながら次を考える〜マーケティングスタイル

◆アメリカで話題になっている店、「b8ta(ベータ)」・・・・家電系メーカーなどが創る新製品をベータテストする場として機能する画期的なリアル店舗。130u程度の店内には整然と並ぶテーブルの上に作動する製品が1点ずつ陳列され、そばに製品紹介するタブレットが置かれている。多くが初めて目にするモノで、入店客は興味を覚えると同時にそれらを自由に試してみることができる。勿論、その場で購入もできる。誕生は2015年。
・並んでいる製品は130点ほどで、毎月1日に製品が入れ替わる・・・・テクノロジーを生かした製品が中心。
◆「b8ta」は出品企業が払う月額料金で成立。スペースを貸すだけでなく、ポイントは、店頭で収集した定性データも含んだ分析を行い、企業にフィードバックすること・・・・定量的なデータに加えて、天井に据え付けたカメラでモニターする客の動き、端末の閲覧履歴、客との会話などを通しての意向なども。
◆同様の趣旨の店が日本にも登場・・・・「蔦屋家電プラス」(二子玉川ライズの蔦屋家電内)。
取り上げているのはメーカーの試作品、既に販売されている商品、ベンチャー企業による新機軸の製品など。製品の販売ではなく、出展料で収益を得る。
・出展物にはタブレット端末を配置、特徴を表示するほか、搭載したAIカメラで前に立った客の属性や滞在時間を把握。店内には全体を俯瞰するものをはじめ、多数のカメラを配置。これらのデータ分析結果と店頭スタッフが接客を通じて吸い上げた客の声を出展者にフィードバックし、マーケティングに役立ててもらう。
◆パルコも19年秋に建て直し開業する渋谷パルコに、クラウドファンディングの「キャンプファイアー」と組んで同様の実験店舗を開設予定。
◆反応を見るということでの興味深い成功事例、英国の新興のオンライン特化型ファストファッション「ブーフー(boohoo)」・・・・ファストファッションを超えて『ウルトラファストファッション』を標榜。ポイントは、初回のロット数を極小化し、SNSで反応を素早くとらえ追加オーダーをかけるテスト&リピートのビジネスモデルを確立していること。
・企画の発案から販売までの期間が2週間と短い。
・毎日200以上の新商品をサイトに掲載、顧客を絶えず刺激。
◆ネットの時代にあっては、生活者の反応を見て、素早く修正して、またその反応を見る、その繰り返しが売れるものを追求するうえでの重要な仕組みになる。消費者の購買データの取得とデータ分析による消費者理解に基づくデジタルマーケティングが重要になってきている時代にあって、テスト&ラーンの手法が新型のリアル店舗を生み出していることに目を向けたい。


(5)飲食が来店を促す〜リアルの場の価値

◆アメリカでの調査によると、「SCにあるといいと思うもの」の第1位がフードホール。「食べる」ことがリアルの場の価値として認識され、商業施設において来店を動機づけるうえで飲食の重要性はますます高まる。また、物販店舗の開発にあたっては飲食を併設する複合型の店作りが有効になる。
◆日本でも「街の食堂」の役割を果たすフードホールが外食機会を創造する新施設として注目され、都市型SCの活性化装置として、あるいは新施設開発のテーマとして広がりつつあり、新たな事例が出てきている。
・フードホール・・・・地域の評判のいい多数の飲食店とダイニングエリアで構成。その場で食べることもでき、持ち帰ることもできる施設。食物販をミックスする例も。
◆新たに開業した錦糸町パルコ。オフィスワーカーと都心勤務者ファミリーの流入が進む、職住両面の顔を持つ地域特性に着目、1階に「スミダフードホール」を開設・・・・地元の墨田の名店を中心にロサンゼルス発の「ウマミバーガー」など7店舗で構成。地元にこだわりを持った構成がフードホールとしてのポイント。
◆新しくオープンした「FOOD HALL BLAST! TOKYO」(新宿)。フードホールとして独立した施設では初めての例。6店舗で構成・・・・オハイオ発祥のカスタムピザの店「クチノバ」、カリフォルニア発のメキシカンフードの「クロニック タコス」、クラフトビールを売り物にするパブなど6店舗で構成。
・2フロア、吹き抜けで構成。見通しもよく、『街』としてのまとまりを感じさせる。
◆地域を重視し、地域の住民、ビジネスピープルの食需要をとらえる事例と、フードホールを独立した施設として開発する事例と・・・・新たな動きに留意。


2.社会的に正しい消費に共感する

◆サンフランシスコに拠点を置く「エバーレーン(Everlane)」というオンラインのファッションSPAが注目されている。上質な素材を使用した、シンプルなデザインによるベーシックスタイルのアイテムが特色・・・・Tシャツ、スウェッツ、デニムなど。このブランドは「徹底した透明性」をスローガンにビジネスを展開。これが共感を呼び、ファンを増やしている。
・個々の商品について、販売価格に加えて材料費、人件費、物流費といったコストを掲示。商品を売り切っては予約を受け付ける手法で在庫リスクを最小限に抑える。
◆クレコスという化粧品メーカー(奈良)が生活者の心をとらえ、売上げを伸ばしている。ポイントはモノ作りを通して社会問題の解決に一役買おうとする姿勢。
・農家が耕作放棄地を再生し、自然栽培した茶葉などを仕入れて原料に使う。加工やパッケージの生産に、社会福祉法人などを通じ、障害者や高齢者の力を生かす。
◆サスティナビリティを規範に正しい消費を意識し、実践することはこのところの最も重要なトレンド。そこでクローズアップされるのがムダの多いファッション消費で、「スローファッション」追求の動きが広がっている。
@上質でタイムレススタイルの長く着られる服を。
Aできる限り少ない服で・・・・必要最小限のモノで暮らす。
Bリメイク(作り直して長く着る)。
◆そして、リユース、即ち中古衣料への関心も。アメリカでは高級ブランド衣料・雑貨のリセール市場が急成長している・・・・買い取って再販、委託販売する中古サイトがファッション市場での見逃せない勢力に。その代表がザ・リアルリアル(TheRealReal)、スレッドアップ(THREDUP)でリアル店舗も開設。価格は新品の1/3程度。1日6千点の商品が追加される。また、デザイナーブランドのなかにもリユースと取り組む動きが出てきている。
・売却で得た収入の5分の1が同サイトでの購買に使われる・・・・循環経済。
◆容量と価格が従来品の半分程度のミニサイズ化粧品がヒットしている。消費において実質的価値を重視し、ムダのない消費を心がけるロストジェネレーションやニューマテリアル世代をとらえる。サンプル化粧品的感覚で流行をいろいろ試してみる楽しさもあり、デパコスに興味を抱くニューマテリアル世代を顧客化するエントリーラインとしての意義も。
・資生堂から「ピコ」シリーズ・・・・半分サイズの口紅やマニキュア。
・M・A・Cの「リトルM・A・C」・・・・ミニサイズのメイクアップアイテム。1,500円程度。
◆ロストジェネレーション/ミレニアル世代が主役になって、あるべき正しい消費を追求する動きがグローバルなトレンドに。特にこの両世代は自分たちの消費が社会貢献になることに喜びを感じる。これを後押ししているのが「SDGs(エスディージーズ:Sustainable Development Goals)」。
・SDGs ・・・・2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標で、そこには持続可能な世界を実現するための17のゴールが掲げられている。企業も強く意識。


3.美容が男の関心事になるなかで〜メイクアップの時代へ

◆男と美容。その発端になり、トレンドセッターになったのが、21世紀に入って台頭してきた「メトロセクシャル」・・・・「内在する女性的一面」を意識し、これを自発的に表現しようとする男たち。既成の性差の概念にとらわれず自己表現する男性像。彼らは同性愛者ではない。その特質は、ジェンダーフリー(性差を超える)、アンドロジナス(両性具有)といった感じ方でモノ、コトをとらえることにある。
・かつての「逞しい男」から、「美しい男」への男性美の変化。象徴的な存在が「マトリックス」のキアヌ・リーブス、そしてデイヴィッド・ベッカム。
◆メトロセクシャルはジェンダーフリー消費をリードしてきていることで注目される・・・・例えばメンズジュエリー、男がスカートを着こなすなど、男物・女物の境を崩壊させてきていることなども。性的少数者への配慮が社会的なテーマになる以前から。
◆メトロセクシャルが生み出し、今日につながっている消費は多々あり、そのなかでも特筆すべきが、「美しくなる」ことと美容処方への関心。男性の間では、髭剃りに伴うフェイスケア、ヘアケア、オーデコロンなどの香りをつけるといったグルーミングは習慣化していたが、メトロセクシャルは「身だしなみを整える」グルーミングを超えて、従来は女性の領域と思われてきた「美しくなる・美しく見せる」美容と取り組むようになった。
◆メトロセクシャルがもたらした男のオシャレについての新たな動き。女性同様に化粧することへの関心。それまでのヘアケア、ボディケア、体臭への気配りなどの「グルーミング=身だしなみ」から、スキンケア、メイクアップが新たなカテゴリーに・・・・メンズコスメ市場の誕生。
◆ここに着目した百貨店の取り組み。注目事例としてリニューアルオープンした阪急メンズ東京。1階にこれまでの倍の130uで「メンズコスメティックワールド」を展開。「ビューティー・マニア」をコンセプトに構築。
・スキンケア、メイクアップ、フレグランス、グルーミングをMD軸に。
・メンズコスメをトータル提案する「ファイブイズム バイ スリー」が核ブランド。
・今後、トータル提案ブランドとしてトム・フォードの導入を予定。
◆男のメイクアップが常識化する。そう読んでのことだろう、シャネル、ジバンシイ、トム・フォードなど有力化粧品ブランドもメイクアップを含むメンズコスメを総合展開するブランド開発との取り組みを活発化させている。
・「男がメイクアップする」という非常識が常識化していくには時間がかかるものだ。
◆メンズコスメについては伊勢丹メンズ館も注目される。百貨店が取り組むことで「男の美容」が一部のマニアのものではなく、新たな常識になっていく・・・・百貨店という業態は「常識を示す」という他業態にはない特性を持つ。また、メンズコスメは徹底的に拡充を図ることで広域からの集客に寄与するデスティネーション性になる。


4.スポーツに商機あり〜アスレジャーそしてボディメイク

◆2019年秋にラグビーワールドカップが、2020年夏に東京オリンピック・パラリンピックが、2021年5月にワールドマスターズゲームズ2021関西(WMG。生涯スポーツの大会)が開催される・・・・この3年間を「ゴールデン・スポーツイヤーズ」と呼ぶ。
・スポーツが話題の中心になり、国民的関心事になっていく。
◆スポーツが時代の空気として拡散。注目したいのは、スポーツを観戦する以上に、「する」喜びを大きくすること。近年、「アスリートにアイデンティティを求める」生活者が増えてきており、「ゴールデン・スポーツイヤーズ」はその動きをいっそう促進。
・特に、30歳以上であれば誰でも参加できる世界最大の生涯スポーツのイベントWMGの影響力に注目。生涯スポーツは長寿社会において人生設計のうえでも意識されるものになっており、高齢者に対しても啓発的な役割を果たす。
◆アスリート志向や生涯スポーツとの取り組みはパフォーマンスウエアを提供するスポーツブランドにとって成長機会になる。スポーツブランドやスポーツ系小売りの動きが活発に・・・・紳士や婦人のアパレルの動きとは対照的。
・フランスのスポーツSPA「デカトロン」が日本に初出店。
・スポーツウエアやアスレティックウエアのアーバンカジュアル化が進んでいく・・・・ファッションの分野では「パフォーマンスウエアの日常化」、即ち「アスレジャー」が新たな領域になっていくと考えられる。
・「ルルレモン原宿」・・・・ファッション性の高いアスレジャーに焦点を当てた新店。
◆アスリート志向をとらえることは食における新たな商機開発テーマに。アスリートとしてパフォーマンスを高めることを意識した食事やサプリメントや機能性食品の摂取への関心・・・・サプリメントのなかでもプロテインがブームになるなど。
・食事では「ニュートラルワークス.スタンド」のデリボックス・・・・栄養価が高く、アスリートのコンディショニングに適した食事。
◆新たな注目事例として「筋肉食堂」。元パーソナルトレーナーが立ち上げた、「カラダづくり」を志す人のためのレストラン・・・・「高タンパク・低カロリー・低糖質」を謳い文句に 鶏肉や牛赤身肉を食材にする料理とサラダを中心メニューとして提供。渋谷店では若い男女を中心に入店待ちの列ができる賑わい。ボディメイク、カラダ作りへの関心。それに応える筋肉に良い食事が飲食業態開発に結びつく。
・例えば、人気NO.1のメニューが「鶏モモ肉200g+鶏ムネ肉200gのミックスステーキ」で単品1,600円。
・弁当の提供に絞ったデリ店を丸ビルに出店・・・・「筋肉食堂 丸ビルDELI店」。
◆「筋肉女子」が話題の言葉になっている時代。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、血流がよくなる。また、太らない体質を作る・・・・美しく、健康であることに筋肉が貢献することが関心を集め、筋肉をつける運動が女性の関心事に。女性の美についての視点として注目。
・その頂点として「ビキニ」・・・・NHKのBS1で取り上げたことから注目度上昇。


5.ボピス(BOPIS)/注目の小売業トレンド

◆アメリカの店舗型小売業の間で取り組みが活発になっている「BOPIS(ボピス)」・・・・「バイ・オンライン・ピックアップ・イン・ストア(Buy Online Pick-up In Store)」の頭文字を取った略称で、「ネットで注文(購入)して店舗で受け取る」サービス。
◆生活者にとってボピスにはいろいろと利点がある・・・・送料の負担がない、商品を探す手間やレジの順番待ちを省ける、事前に在庫を確保できる、受取日時を指定できる、受取時に品物を見て(あるいは試着して)その場で返品できる。要は、デジタルの検索性の高さで商品を見つけやすく、レジ待ち不要で時間節約型の買い物ができる。ボピスは新しい買い方となって広がり、リアル店舗を展開する店舗型小売業にとって、ボピスの活用はリアルとオンラインを融合させるオムニチャネル戦略のひとつとなる。
・ボピスはEC化率向上を牽引し、店舗型小売業に新たな可能性をもたらす。
◆ボピスの活用と積極的に取り組み、成果を上げているのがウォルマート・・・・従業員が対応する受け渡しカウンターでは対処しきれず、「ピックアップタワー」と呼ばれるピックアップ用の巨大なロッカーを開発、19年中に全店に設ける。また、ナイキはニューヨークに開設した大型旗艦店でボピスを店作りの柱にしており、スマホアプリで購入して、店のロッカーで受け取れる。
◆ボピスを活用する事例としてノードストロムの開発したノードストロム・ローカルも注目に値する・・・・ネットで注文した商品を受け取りに出かける場を店舗とは切り離して独立した形で新設。8つの試着室を設け、パーソナルスタイリストが常駐し、無料で相談に応じるサービスも提供。コーヒーやアルコールを楽しめるバーもあり、顧客サロンの性格を持たせている。ボピスにはこんな活用法もあるということでの参考事例。
◆ボピスは店舗側にも利点がある。店舗に足を運んでもらうことで「ついで買い」を誘うことも期待できる。加えて「オンラインID」登録者を増やすことができる。こうして得たデータを活用したサービスの拡充と強化は成長に貢献する・・・・ボピスはネット小売業の攻勢にさらされている店舗型小売業にとって、リアル店舗を持てばこそものにできる成長のチャンスに。
◆ネットでの買い物とリアル店舗の活用ということでの驚くべき事例が、百貨店チェーンのコールズ(Kohl's)が「アマゾンの返品を受け付ける」こと。ネット通販を利用して最も面倒なことは何らかの理由での返品。返品のためには、それを箱に詰め直し、近くのFedExかUPSに出かけねばならない・・・・コールズはこの通販につきものの問題に着目。
・アマゾン返品カウンターは返品無料、理由も一切聞かれない。しかも品物を箱に入れ直す必要もなく、コールズの店員がすべて引き受ける。
◆返品カウンターはどこも大変な賑わいを見せている。来店客が増え、新規顧客を創造。返品での来店が新たな売上げを作る・・・・ネットとリアルがこんな形で共生していく。注目すべき取り組み。

以上



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