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2018年6月15日開催

1.注目事象から

(1)80年代に惹かれる〜過去を再起動する

◆昨年、日本高校ダンス部選手権で準優勝した大阪府立登美丘高校が披露したバブリーダンス、「ダンシングヒーロー」が話題に・・・・1985年、バブル時代のディスコ音楽。ボディコンスタイルなどその時代のファッションを再現。
・ニューマテリアル世代は生活感覚や美意識の面で親(マテリアル世代)の影響を強く受けている・・・・例えば親の好きなアーティストの曲を聴くなど。
◆80年代ファッションをテーマにするポップアップショップ「ハイ!エイティーズ」・・・・渋谷109地下2階のイベントスペース「イマダ・マーケット」に開設。古着とトレンドアイテムをミックスし、80年代的感覚を追求。
◆18年秋冬のコレクションにも顔をのぞかせる80年代。パリコレのミュウミュウ・・・・オーバーサイズのスウェードコートなど、大きめのショルダーラインによるボリュームのあるトップ。クリーンな色との組み合わせ。髪を立たせたヘアスタイル。80年代のキッチュ(悪趣味)な感覚がポイントになっている。
◆過去の流行風俗を、現代的解釈を加えてリブート(再起動)する動き・・・・特に新世代=ニューマテリアル世代を刺激。80年代と同時に90年代もリブートの対象に。
・ロンドンのストリートカルチャーのひとつ、レイブ(Rave/屋外などで開く音楽イベント)とその際のファッション。
・アメリカ発のヒップホップファッション・・・・特にスケートボーダーのストリートカルチャーとファッション。
◆ヒップホップファッションはロストジェネレーションの世代文化。この世代がファッションを企画提案する立場になって起きてきていること。


(2)アーバントラック/アスリート×ビジネスパーソン

◆スポーツ庁が打ち出す健康増進プロジェクト、「FUN+WALK PROJECT」。より身近な運動として歩くことに着目。特に運動不足を感じているビジネスピープルに「スニーカー通勤」を呼びかける・・・・国民医療費の抑制、健康寿命の延伸も視野に入れて。
◆「スニーカー通勤」がメンズファッションの新たなMDテーマになる。ポイントはスニーカースタイルが格好よく見える軽快なジャケット、パンツ・・・・軽快感の美に気づきを与えるスタイリング提案で新たなオシャレ欲求を喚起。クールビズ表現のひとつに。
・スニーカーにも新たな商機がある・・・・「ドレス感覚のスニーカー」が訴求テーマに。
◆注目しておきたい動き・・・・アスリートのマインドで着こなせる仕事着がビジネスクロージングの新しいジャンルに。背後にアスリートの一面を持つ生活者の増加。走って通勤、長距離を自転車で通勤など、アスリートとして通勤をエクササイズの手段にする動き。
◆スポーツブランドが得意とする運動機能を踏まえた機能素材をタウンウエアに生かすことに新たな可能性がある。スポーツ用品ブランド、ミズノによる新商品、「ムーブスーツ」・・・・野球ユニフォーム用に開発したポリエステル素材を使用したビジネススーツを発売。
・耐久性や伸縮性に優れ、汚れが染み込みにくく、取れやすい。肩の動きを妨げず、腕を上げても突っ張らず、パンツは細身ながら動きやすいカッティング。通年で着用でき、家庭で洗濯できる。28,000円。サイズ充足率も高い。イオンで展開。
◆アディダスとイセタンメンズの共同開発で誕生したスーツコレクション、「アイコンスーツ」・・・・サッカーのユニフォームなどで使用する、吸汗速乾性を持つ独自技術「クライマライト」を応用。湿度が高い日本の気候を踏まえ、さらっとした感触のシアサッカーを使用。
◆アスリート×ビジネスパーソン。アスレティックウエアとビジネスウエア。異質な、本来、相容れない性格のものを融合させることで新たな衣服を創造。


(3)食販とダイニングが融合する新施設/フードホール開発ブーム

◆アメリカの食品スーパーにおける店作りのコンセプトとして注目されている「グローサラント(Grocerrant)」。ニューヨークのイータリーが創り出したトレンド・・・・食品マーケットとレストランやカフェが混在する形で構成。マーケットでとる食事といった、屋台にも通じる人間臭さが都市生活者にとって飲食の新たな魅力に。
・そのイータリーによる日本でのグローサラント的店作り・・・・「イータリー グランスタ丸の内」。食物販と飲食が混然一体になって新たな食体験を楽しませる。
◆食販と飲食の融合は新しい施設のコンセプトになって広がろうとしている。ニューヨークで開発ブームになったフードホールに注目。
・フードホール・・・・一見フードコートの印象だが、その地域の独立系の評判のいい飲食店と、その地域で作られた食材、惣菜、加工食品を売る店で構成する。買って帰る、買ってその場で食べる、ダイニングを楽しむ。いろいろな利用ができる施設。
◆大阪・梅田の商業施設でフードホールを新たな集客装置、利用価値にする動き。先行事例となってあちらこちらの商業施設に広がっていくものと予測される・・・・従来のフードコートを超えるものとして。
・ルクア地下2階にオープンした「ルクア・フードホール」・・・・既存飲食街の「バルチカ」と合わせて、食について巨大規模のエリアを創出。
・阪急三番街・北館地下2階を改装して「ウメダフードホール」に。
◆フードホールは特に都心立地の商業施設に必要な装置に・・・・繰り返し何度でも行きたくなる新たな名所にできる。来店頻度を高めることに寄与する装置。


(4)シニアにこそAIやロボットを

◆AIスピーカーが生活者にとって暮らしに結びつく身近な存在になりつつある。とりわけその音声検索機能はシニアにとってありがたい。手入力が煩わしいシニアにとって音声で操作するAIスピーカーは恩恵を実感できる・・・・AIスピーカーとシニアは親和性が高く、大きな需要が潜んでいる。
・シニアにAIスピーカーを・・・・グーグルホーム、アマゾンエコー、クローバウェーブ。ビックカメラではシニアをターゲットとして意識、顧客の家を訪れ、グーグルホームの設定や操作方法を教えるサービスを提供。
◆AIやロボットが社会的関心事になるなか、新たな取り組みとして興味深いのが、島屋新宿店が開設したロボット売場「ロボティクス スタジオ」・・・・20uほどのスペースに20種を超える様々な機能の家庭用ロボットが並ぶ。親子3世代がそれぞれに興味を持てる売場であるが、中心客層は60代以上のシニア。
・9階のキッズゾーンに隣接。子どもにとって意義があるプログラミングが学べるロボットなども。ロボットは親子3世代の興味を刺激する『高額なオモチャ』。
◆シニアの関心を集めているのが会話型ロボット・・・・家庭で話す機会が少ない独り暮らしやペットを失った人に好評。特に人気が高いのが、今日の天気やニュースを教えてくれる会話型の「ソータ」(156,600円)。高齢の親へのギフトとしても人気。


(5)味覚の前に視覚を楽しむ

◆「インスタ映え」「フォトジェニック」が流行語になるように、SNSで「いいね」をもらえるような、視覚的な驚きが食の世界でも期待されている。飲食店では料理の盛り付けにサプライズを求め、SNSでの拡散を促進しようとする動きも広がっている。
◆食べ物における視覚的驚きを先導したのが、巻きずしを切ると断面に絵があらわれる「デコずし」。キッズを主役にするギャザリングで効果を発揮、弁当にも発展。これがヒントにもなって、断面に美的価値を創造することが食べ物の新しいトレンドに。
・インスピレーション源になったのが、ニューヨークの写真家、ベス・ギャルトンによる、食べ物の断面を見せることをアートにした写真。
・断面を興味の対象にしたものとして伊勢丹のクリスマスケーキカタログも・・・・中身の説明から始まったものが今では「伊勢丹スタイル」として定着。店頭での食品のVPにも応用。
◆断面をアートとして楽しむ。その対象になっている食べ物がサンドウィッチ。視覚的な魅力を価値として訴求する店が出てきている。食べ物に視覚的価値や美的価値を持ち込む。
・「#萌え断」なるハッシュタグも広がりを見せている。


2.年齢を超えてスタイリッシュに

《50代が共感できる大人服を》
◆生活や消費の面で上流志向が強く、ラグジュアリー消費に豊かさを感じるマテリアル世代が50代の大半を占めるようになってきている。この世代は、年齢は記号に過ぎないと考え、振る舞い、既成の50代のイメージを超える、洗練とはこういうものだということで共感できる「大人の生活」を描いている。しかしそれに応えてくれるモノやサービスは容易に見当たらない。
◆なかでも期待されているのがこの世代の女性にふさわしい「大人の服」。
・年齢をモノサシとして感じさせる従来的な服に拒絶感を抱いている。
・同様の気持ちはひとつ上の世代(ミージェネレーション)にも見られる・・・・これをとらえた60代女性向けファッション誌『素敵なあの人の大人服』(宝島社)が好調な売れ行き。62歳のモデル、結城アンナを起用。ポイントは「自然体」の美。
◆こうした中、ようやく「大人の女性向け」を謳う婦人服の新ブランド開発の動きが出てきている・・・・「エブール(ebure)」(16年秋から立ち上がった先行事例)、「ウーア(Uhr)」(2018年春夏から)、「イレーヴ」(2018年春夏から)。
・いずれもシンプルなデザイン、上質な素材、着やすいシルエットがポイント。
◆期待されるのは同世代のデザイナーやスタイリストによる新たな提案で、洗練についての共感を得るものに可能性がある・・・・これまでの熟年の既成概念にとらわれない、自分たちの世代のための新しい大人服。

《『年齢不詳』と言われたい》
◆化粧品も含んでビューティーを牽引する「50+」女性・・・・エイジングを意識するなかで、美しくありたいという欲求が強く、「年齢を超越したい」という強い思いを持つ。『年齢不詳』は特に50代以上の女性が求めたい褒め言葉として意識される。化粧品やビューティー機器にこれまでの50代には見られなかった高い関心を示し、出費を惜しまない。
◆アンチエイジング化粧品はその代表で、既に「シワ改善」効果のある美容液やクリームがヒット商品になり、顔のタルミを取る美容器具も関心を集めている。
・ポーラの「リンクルショット メディカル セラム」。薬用美容液。
・資生堂の「エリクシール シュペリエル エンリッチド リンクルクリームS」。
・高級美容ローラー「リファ」。
◆美しくあるうえでの基盤として元気で溌剌としていたいという欲求も。そこで目が向くのが健康食品・サプリメントなどヘルスケアフーズ・・・・目や骨の健康に加えて美肌・肌ケアが期待する効能。高齢化の進行と並行して需要は今後も増え続けると予測される。
・日本同様、ベビーブーマーの先頭が70歳を超え始めたアメリカでもアンチエイジング市場の成長が注目され、投資や商品開発が活発になってきている。化粧品のほか、美容医療、医薬品、栄養補助食品など様々な商品が期待される。

◆こうした「50+」女性の美への欲求を踏まえて、百貨店では化粧品の拡充強化と取り組む動きが注目される・・・・本来、化粧品は百貨店業態が強みとする分野(近年では訪日外国人の消費も要因になって)。
・そごう横浜店。面積、品揃えを6割拡充し、コスメを中心に美と健康のニーズを掘り起こす・・・・段階的に改装・再編が進行中。
・サックス・フィフス・アベニュー旗艦店・・・・先月、2階すべて(3,000u)を化粧品フロアに改装(1階から移動)。多種類の美容スパの導入もポイント。
◆取扱いブランド数を拡充するだけでなく、多様なビューティーサービスの提供、インナービューティーに目を向けた飲み物の提供も・・・・広くウェルネスへ領域の拡大を図る。


3.住むこと・暮らすことにお金をかけたい

◆ロストジェネレーションの間でホームがホットな関心事になり、お金をかける動きが活発に。背後にはこの世代の生活観、消費観がある。

《「小屋」に惹かれる》
◆アメリカやヨーロッパではミレニアル世代(日本のロストジェネレーション)を中心にタイニーハウスへの関心が広がっている。最低限の設備でシンプルに暮らしたいとする生活観に応える・・・・リーマン・ショック以後、経済的にも安上がりなスケールダウンした暮らしを志向する動きを背景に。
・身軽に、柔軟に生きる・・・・この時代の感覚。
◆同じタイニーハウスでも、日本では趣味を楽しむ場として「小屋」が欲求を刺激する商品に。例えば、自宅の庭に6畳ほどの広さの小屋を建て、そこで好きなことを楽しむ・・・・新しい形の『離れ』であり『隠れ家』。交流も好きだが、独りの時間も大事にしたい。
◆庭ではなく、家の中に小屋を設ける動きも。「家の中の小屋」の提案が活発になり、関心を集めている。合板などで周囲を囲うことで比較的手軽に独立性のある空間を創り出せる・・・・様々な目的、用途で活用できる。究極のホームオフィスにも。
・ふすまメーカーから十分に強度のある「一畳ユニット」の提案も登場。

《スタイリッシュなキッチンを求めて》
◆ロストジェネレーションの間でギャザリングやホームパーティーの機会が増え、キッチンが社交場になり、キッチンのあり方やそこで使うキッチン家電などへの関心が高まってきている・・・・例えば、複数の人が料理作りを楽しめるキッチンのあり方など。
◆キッチン家電はゲストに見せるものでもあり、多くのアイテムはインテリアの要素としての役割も持つ。キッチンは自分の生活感度の高さを表現する場として意識、デザイン性の高さと性能の高さを兼ね備えるキッチン家電に関心を寄せる。

・デザイン性と機能性を兼ね備える「バルミューダ」のトースターや、「バーミキュラ」のライスポットが大ヒット商品に。
・松屋銀座が「バルミューダ」のキッチンシリーズを取り上げるブランドショップを開設していることに注目。キッチン家電が上質な暮らしを提案する百貨店の領域に入ってきていることを実感。
・「蔦屋家電」のリニューアルに読むこと・・・・食関連の家電売場の拡充。
◆キッチン家電やホームについては、上昇志向して働く者も多い独身女性の消費力も見逃せない・・・・可処分所得が高く消費性向も高い。加えて家事を分担する男性の存在も。

《中古マンションを『自分仕様』にするリノベーション》
◆家庭を持つようになったロストジェネレーションの間で住まいのリノベーションが関心事に・・・・中古マンションを買って、それをベースにして、「自分仕様」の住まいを創造することに喜びを見出す。古いものの再生はロストジェネレーションの関心事のひとつ。
・中古マンションという選択はこの世代にふさわしい。そこにはこの世代の生活観や消費観に根差した理由がいろいろある。
◆この動きに働きかける取り組みが活発化。特に注目がこれまで住宅とは無縁であったファッション企業が住まいのリノベーションに目を向けつつあること。ロストジェネレーションにも支持の多いファッションブランドを展開するベイクルーズ、ディーゼル、ユナイテッドアローズがそうで、いずれも中古マンション再生業者と提携し、自社の家具や内装デザインを魅力にする住空間事業との取り組みを開始している。
・ファッション企業にとってはファッション小売りで身につけたセンスや店舗デザイン力や内装設計力が事業資源に。
・ファッションビジネスが業際的なものへと変化してきていることに注目。
◆生活感度の表現の面からの関心が、衣よりも食に、さらには住へと移りつつある。そんな意識の広がりが住まいのリノベーションをホットな関心事にする。


4.サブスクリプションサービスに注目

◆モノを「所有する」のではなく「利用する」消費観の広がりのなかで様々な消費分野で台頭してきているのが「サブスクリプション」サービス・・・・購入ではなく利用に対して料金を支払う。継続課金型のビジネスモデル。古くは新聞・雑誌、アスレティッククラブなどでお馴染み、顧客を継続的に囲い込むことに狙いがある。
・「作って、売る」プロダクト販売型から「必要に応じてサービスを提供する」サブスクリプション型への着目は重要なビジネストレンド。
◆ロストジェネレーションの関心を刺激・・・・所有にこだわらない、ブランドへのこだわりがない。「これでいい」消費観を広めた世代。サブスクリプションサービスはこの世代の消費手段として可能性がある。
◆サブスクリプションサービスは様々な分野でスタートアップを生み出し、事業開発の視点になっている。アメリカには急成長した成功事例も見られる・・・・例えば「バーチボックス(BIRCHBOX)」。月額10ドルの会費で会員の好みに合わせたサンプル化粧品を送り届けるECサイトで、2010年の創業以来、会員数が100万人になる成長ぶり。
・ギャップ社では、ベビーギャップやオールドネイビーの子供服について、スタイリストが選んだ商品を3か月に1度届けるサービスを開始。
・他にも、月額12.99ドルでその子に向けた最適オモチャを届ける、電動歯ブラシと歯磨き粉をセットで届ける、髭剃りセットを届ける、毎月好みの香水を使い切り容器で届ける、ティーン向けライブ行き放題サービス等々。日本では、コーヒー飲み放題や何度でも利用できる会員制フレンチレストランなど。
◆サブスクリプションモデルは既にレンタルファッションの分野でお馴染みになっており、追随する動きが広がっている。特に紳士服、それもビジネススーツについて取り組みが活発になってきている・・・・何を着たらいいのか悩む男性は多い。選んでもらえるので悩まなくて済むのはサブスクリプションサービスの価値のひとつ。
・レナウンの「着ルダケ」・・・・月額9,800円で、春夏と秋冬のシーズンごとにスーツ3着、シャツ5枚、ネクタイ5本を借りられる。契約期間は2年以上。
・アオキが始めた「スーツボックス」・・・・月額15,000円のスタンダードコースの場合、毎月、スーツ2着、シャツ3枚、ネクタイ2本が送られてくる。
◆新しい動きとして注目したいのが丸井。メンズ向けブランド腕時計の月額制レンタルサービス「カリトケ」を有楽町マルイに導入。ロレックスやオメガなど高級腕時計20ブランドを揃える・・・・月額3,980円から19,800円まで4種類の料金プランで提供。
・ひとつの店が「売る」ことと並行して「貸す」サービスを提供する。これからの小売店のあり方として注目される。
◆生活者にサービスを継続利用してもらい、サービス内容をよりパーソナライズ化することで関係性を深める。自動車、自転車、タイヤ、化粧品、ワインでも具現化しつつあり、消費のあり方を大きく変えていくことになる。


5.テスト&ラーンが重要な時代にあって

◆アメリカで話題になっている店、「b8ta(ベータ)」。店名がテクノロジー業界の用語であるベータテストに由来しているように、売り物は「実証実験」・・・・家電系メーカーが創る新製品をベータテストする場として機能する画期的なリアル店舗。
・誕生は2015年、以来、単独出店、あるいはホームセンターチェーン内でのインショップ展開などで急速に店舗数を増やしている。
◆130u程度の店内には整然と並ぶテーブルの上に作動する製品が1点ずつ陳列され、そばに製品紹介するタブレットが置かれている。多くが初めて目にするモノで、入店客は興味を覚えると同時にそれらを自由に試してみることができる。勿論、その場で購入もできる。
・並んでいる製品は130点ほどで、毎月1日に製品が入れ替わる・・・・テクノロジーを生かした製品が中心。
・店舗スタッフは各製品について十分な説明ができるよう訓練されている。
◆「b8ta」は出品企業が払う月額料金で成立。ポイントは、店頭で収集した定性データも含んだ分析を行い、企業にフィードバックすること・・・・「実証実験」の場として。定量的なデータに加えて、天井に据え付けたカメラでモニターする客の動き、端末の閲覧履歴、客との会話などを通しての意向なども。
・テスト&ラーンの手法が新型のリアル店舗を生み出すというのは興味深いこと。
◆振り返って、スマホが情報収集のツールになっているなか、「いいね」の数やレビューが購買につながる時代。そのことが「売れるものがもっと売れるようになる」、ネットワーク効果が力を持つ消費情況を生み出している・・・・生活者の反応を見ることの重要性。反応を見て、素早く修正して、またその反応を見る、その繰り返しが売れるものを追求するうえでの重要な仕組みになる。
・最近、ファッション店では、店頭のマネキンに着せる服を、店が提案するものから売れ行き上位のものにする動きが出てきている・・・・ネット通販では商品の売れ行きをランキング形式で表示することに着目して。
◆人々の反応を重視することが、結果、平板で単調で均一化されたモノが溢れかえる状況をもたらしていると言えないか。生活者は自分を啓発し、リードしてくれる、作り手や売り手の強い思いを語るモノとの出会いを望んでいる・・・・これからの消費創造を考える重要な視点であると思うが。

以上



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