ニューヨークと東京、2つの先行指標都市でトレンド発掘を続けるツタガワ・アンド・アソシエーツがお届けする、小売りに携わるマーケッターのための考察録 |
■ツタガワ・トレンド・リサーチについて |
1.15.2009 プライベートライブス発、ホットファッション この10年を振り返って、ファッションに画期的なコンセプトをもたらしたものとして特筆されるのが「ジューシークチュール」である。そのシンボルアイテムであるストレッチベロア素材によるパーカ&パンツは、ハリウッド女優の間で、撮影時のトレーラーの内外で着用するものとして人気に火が付いて以来、スウィートでラグジュアリーな雰囲気を持つ着心地のいい服として日本においても爆発的な人気になった。これをきっかけに、こうしたワンマイルウエアとしての性格を持つものをタウンファッションとしてこなすことが新鮮な着こなしアイディアとなって広がっていき、同時に、イージークロージング(心地よい服)を、多くの気鋭のデザイナーが取り組むところのファッション・コンセプトへと広めたのである。 どちらかと言えば部屋の中でのくつろぎ着の性格とホットなファッション性を融合させる。その流れの中で新たな注目ブランドも登場してきている。池袋西武と新宿ルミネ2に店舗が開設されている「ジェラート・ピケ」である。淡いピンクやブルー、ラベンダー、クリームなどのやさしい色使い、小花模様や水玉模様などの上品で愛らしい柄、ワッフルやパイル、マシュマロのようなフワフワとした素材などによる、パーカ、レギンス、ホットパンツ、ワンピース、ジャンパースカート、オールインワン、キャミソール、ポンチョ、ロング丈の羽織りもの‥‥。 こういったアイテムが並ぶ「ジェラート・ピケ」は、従来的なとらえ方からすれば、百貨店で言えばほぼ間違いなくインティメイトアパレル(婦人肌着)の売場に配置されるブランドである。しかし「ジェラート・ピケ」は2店とも、それぞれの商業施設のメインフロアである婦人ファッション売場に配置されている。それで正しいのである。「ジェラート・ピケ」は女性たちにとっては、室内着としても着られるが、その用途にとどまるものではなく、プライベートな室内着のセンスによる新しいファッション・ブランドとしてもとらえたいものだからである。 10代後半から20代前半あたりの若い女性たちの間で、今、甘くロマンティックな持ち味による室内着やワンマイルウエアがホットなファッションカテゴリーになっている。それらが女性たちのオシャレ心をそそる、新たな「金のかけどころ」になっていることに間違いはない。家庭でのくつろぎをオシャレに演出したいという憧れに近い思いと同時に、そこに新鮮なファッション感覚を見出し、それらをタウンでもこなしたいというホンネがあることを見逃してはならない。その両面の思いを満たせばこそ、「ジェラート・ピケ」のようなブランド開発に新たな可能性が感じられるのである。 |
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